本日のasahi.comより
低所得者向けに空き家を活用 国交省、家賃を一部補助へ(峯俊一平2016年7月22日07時30分)
この政策のポイントは、
だと思います。
感覚的には、(もともと賃貸住宅ではない)空き家を所有している人は、それほど困っているわけではなく、従ってリスクを冒してまで賃貸する必要性を感じていない状況があると思われます。そんな空き家を自治体を通して低所得者に貸す、という行為にどれほどの安心感や事業性を感じるのか、でしょう。
貸せるようにするために、基準に合わせるためにリフォームが必要な場合は、その補助をするというのは良いと思います、やはり、賃貸収入を得るために投資しようという事業意欲が不可欠です。
この基準がまた大きな障壁となりそうです。おそらく空き家となっている物件は昭和56年以前に建てられており、耐震性が不十分であることが多いと考えられます。おそらく、貸せるようにするためには耐震性を確保しなければならず、耐震改修を含むリフォームとなるとかなり高額の投資をしなければなりません。
やっぱり所有物件をそのまま空き家にして活用していない人が事業意欲を持つかどうか、ということになります。
となると事業意欲のある人(不動産事業者?)に一旦借り上げてもらってから低所得者向け住宅として貸し出す、という仕組みにした方が効果が上がるかもしれませんね。
ところで、もともと借り上げによる公営住宅は制度としてあります。1戸から、期限を定めて借りられるので、空き家もこの制度で公営住宅として借り上げられるはずです。
何が違うのでしょうか?
借り上げ公営住宅であれば、自治体が借り上げる=借り上げ料(相場家賃程度)を自治体が所有者に払う、賃貸収入(民間家賃の1/3程度)が自治体に入る、という仕組みになります。
今回の制度は所有者が貸す=賃貸収入(民間家賃の1/3程度)は所有者に入る、家賃補助(どれくらいの割合を補助するかはまだ不明)も所有者に入る、という仕組みになりそうです。所有者は賃貸収入と家賃補助が入るようになりますので、きっと所得税もよけいに払うことになるのでしょう。
こうしてみると、自治体にとっては公営住宅のために借り上げ料を払うより、家賃補助だけで済ませた方が負担が小さい(=取り組みやすいでしょ?)、ということになります。
一方の所有者にとっては自治体に借り上げてもらった方が賃貸住宅経営をする必要はありませんので「借り上げ制度」の方が絶対に楽。家賃補助が相場家賃との差額を補助するシミにならなければ、借り上げ制度の方が収入も多くなる可能性があり、そうなれば借り上げ制度の方がお得。
つまり、つまり、これは空き家活用政策というよりは、自治体にお得な住宅セーフティネット政策ということなりそうです。